ベンチャー企業のエコシステムと市場創造、そして豊かな視野について

2019年の4月、5月は、スタートアップのエコシステム形成を支える、様々なプレイヤーの方々と交流した月でした。例えば、三井住友銀行、ADK(SCHEMA)、アビームコンサルティング、CTC(DEJIMA)、グロービス・キャピタル・パートナーズなどです。

これは私の印象ですが、(グロービス様は例外として)上記のような大手企業内のスタートアップ支援のチームは、まだまだ大手企業の中では少し変わり者と思われているような印象がございました。

 

大手企業の事業成長を支えるうえでは、ベンチャー企業と取引する市場の規模はとても小さいというのが実情です。つまり、大手企業が取引するには旨みがなく、そのような環境下でどうすれば自社と社会(ベンチャー企業の創造、という意味での社会)に価値発揮ができるのかもがいているようにも思えました。

 

そのため、社会的使命のほうが取り組みの姿勢としては大きく、お会いした方々は、どこか慈悲深い聖人のような、子供を育てる父親/母親のようにも見えた、というのが私の感想です。例えば、三井住友銀行 成長事業開発部の綾部 哲治さん、アビームコンサルティングの吉田 知広さんなどは、国内のベンチャーエコシステムについて、とても長期的な視野で考えていらっしゃって、営利企業ではあるものの、自社と社会のバランスを取りながらご活動をされていらっしゃる印象がありました。

私自身、弊社自身も、営利企業としての業績向上はもちろん追っていきながらも、同じベンチャー企業を支えるサービス事業者として、より社会やエコシステムの形成という一つ上段の視点でも活動を考えていきたいと思いました。

 

ちなみに、最近は大手企業様のスタートアップ支援チームの方と交流する機会が増えましたので、起業をしました私が思う、本音ベースで嬉しいスタートアップ支援についても記載します。

そもそも、「市場」とは、人々が欲しがるものの総和であると考えています。

そのため、市場を作るには、言葉で言えばシンプルで、良いものを作る、良いものを広げる活動をするべきです。

これを成すためには、作られたものやサービスに対して、品質の強化、強力な魅力付け、信頼の付与が必要です。そして、ベンチャー企業にはこれを得られるのに、大変苦労をします。

ですので、エコシステム、という観点で望むものは、ベンチャー企業が作り上げた新規性の高いサービスを、トライアルで利用しフィードバックを頂いたり、サービス作りの品質強化のためにご支援を頂いたり、また有名企業がご利用頂いたという事例作り・信用作りを支援頂くことだ、と起業家視点で私は考えています。

 

ビル・ゲイツが、「怖いのは、ガレージで新しい何かを始めた連中だ」と呟いたのは有名ですが、実際にガレージで新規性の高い取り組みをするようなベンチャー企業は、おそらく変わり者だったり、若者だったり、信用力がない連中だとも言えます。

そんな彼らに優しく接してあげ、例えば試しにサービスを利用してあげて、これは良いよと広げてあげたり、こうすればいいよと改善のサポートをしてあげることが、ベンチャー支援の役割の一つではないでしょうか。

日本の市場は、品質やマナーに対しては厳しい、かつ失敗に対しての当たりがキツい国だと認識しています。しかし、ベンチャー企業は、アイデアや技術は優れていたとしても、やはり100%の完全体とは言えない事業体です。

そのような未完成、未成熟の組織に対して、一部の批判者から守ってあげ、健全な市場作りをサポートする。そのようなエコシステムが日本でも出来ることを私は望んでいます。

 

また、ベンチャービジネスが需要を生むということに関連した話をさせてください。

最近おもしろいと思った話は、アニメ業界の「情報量のコントロール」という話です。

川上量生さんが書籍も出されていらっしゃるようなのですが、私は、「アニメでは物質的な書き込み量を上手くコントロールしながら、心地よい主観的情報量をどう提供するかを考えながら作られている」と理解しました。

アニメでは、線の書き込み量や、色の情報量、音の種類など様々な情報的要素があります。これらをどうコントロールしながら、お客様の主観で見える心地よい情報を設計しているんだ、という記事を読みました。

もう一歩調べて、ああ、私が好きだなと思った言葉は、宮崎駿さんの、「アニメーションとは,世界の秘密を覗き見にいくこと」という引退会見のセリフです。

風や、人の動きや、いろんな表情、体の筋肉の動きなどに世界のひみつが隠されている。それをどう切り取って、人々が見たいものをアニメーションという形で提供してあげるのか - これがアニメの役割なんだとおっしゃっていました。

 

この話は、スタートアップの話に置き換えれば、ピーター・ティールの「賛成する人がほとんどいない、大切な真実はなんだろう?」という話にも通ずると思いました。

リーン・スタートアップ、デザイン思考といった手法もそうなのですが、人々が見たい、体験したい、知ってみたいと思うようなものを、どう独自の視点で切り抜いてあげて、こんなものはいかがかな?と見せてあげるのが、起業家の役割なんだと思ったんです。その意味で、起業家は、クリエイターであり、デザイナーであり、芸術家と言っても良いのです。

 

一部の経営者・ビジネスマンがキャッチアップしていると聞き、面白いと思ったのは、今は米国では、MBAよりMFA(Master of Fine Arts=美術学修士)が評価され始めているといいます。ロジカルシンキングや定量分析で答えが出ないビジネスの領域を探求するうえで、アートやデザインの手法や思考法が評価されているようなのです。

みなさんがご存知の通り、市場はもう既に飽和状態であり、例えば家電製品がちょっと機能改善をした程度では、価値が出にくくなっている世の中だと感じています。

一方、アップル社のiPhoneはニーズを生み、アップル製品を統括するのは最高デザイン責任者(CDO)のジョナサン・アイブさんである、つまり、デザインによる世の中の切り取りが上手な方が経営の舵取りをする、そんな時代のようなのです。

 

デザインによる切り取り、という点で私が感動したのは、実は漫画の1シーンです。

ブルーピリオドという、ヤンキー主人公が一枚の油絵に出会ったことで感銘をうけ、美大進学を目指す物語です。

美大への進学に反対をしていた母親に対して、主人公が母親の絵を描いてあげたシーンです。主人公は、絵を描く、デザインするということを通じて、物事をより深く観察し、切り取っていくことが出来るようになりました。

それにより、今まで気づかなかった、言葉に表れていなかった「母親の愛」が、形として目に見えるようになったのです。

f:id:morepj:20190517100710p:plain

ブルーピリオド 第2巻の一コマ

もう既にそこにあるのに見過ごしてきた、重要な真実をいかに切り取って、美しく世の中に提示していくか。市場の作り方も、おそらくそうなのかもしれません。

固定的な物の見方や常識に囚われて、見えていないだけで、実は重要なものがすぐそこにあるのかもしれません。

 

ちなみに、弊社のサービスのモアプロジェクトは、見えていない大切な真実を見せてあげる、まで崇高なものではありませんが、より幅の広い業務体験により、プロフェッショナルの気づきや成長体験を提供する、というコンセプトで運営をしております。

morepj.com

 

Googleが上場する2004年~2005年後半には、20%ルール(業務時間の内の20%を「普段の業務とは異なる」業務にあてて良い)にて「AdWords」「Gmail(ベータ版)」など多くの新製品が制作されました。

サイドプロジェクトには、ルーチンワークとなりがちな本業とは異なるインスピレーションの場があると思っています。

視野が広がりゆく経験を通じて、「見える」ものが増える、その結果、社会に求められるものを切り取ることができて、イノベーションが生まれるのではないか。弊社はそう唱えたいです。

 

上記のような価値観から、私は、価値観を広げる労働体験や、非日常体験を提供するようなサービスが大好きです。モアプロジェクトをローンチして、知ったのですが、例えば企業間レンタル移籍プラットフォーム「ローンディール」というサービスや、crewwが運営するスタートアップスタジオ「creww studio」などは、弊社の価値観にも通ずるところがあり、とても素敵なサービスだと思いました。

先日お会いした起業家の日置愛さんが経営する「週末ルームシェアweeeks」も面白いアイデアでした。

 

なぜ急にこの話を出したかといいますと、TBS×Paraviの経済ドラマ「新しい王様」という作品に、紐付きます。

このドラマは、ナニワ金融道やカバチタレなどの社会ドラマのプロデューサーで、メディア業界としては珍しく海外MBAを取得されていらっしゃる山口雅俊さんの手がけたドラマです。

「藤原竜也演じる自由人・アキバと、香川照之演じるファンド会社代表・越中がテレビ局の買収を企むというストーリー」が骨子なのですが、この対比は、従来偉いとされていた経営者・投資家・マスメディア・芸能人といったものを対照して、自由な生き方やお金や地位に囚われない働き方を描くものでした。

ベンチャーという文脈に紐づけますと、実は、グロービス・キャピタル・パートナーズの高宮さんが最近イベントで、あえてベンチャー企業のネットワーク・自分の周囲の世界とは関係のない世界に飛び込むようにしているんだ、というお話をされていたんです。

 

VCから多額の資金調達した、一気に急成長してメディアにも取り上げられて、社長も有名人になった。そのようなストーリーは誰もが憧れる世界観だと思うのですが、そうじゃない価値、小さくても良い事業はある、もっと言えば事業以外でも素敵な取り組みや尊敬できる人はいるんだ。そのように考えていらっしゃる節も私は感じ取り、この話の着地点は難しいのですが、一つの価値観だけが絶対ではない、という考えを教訓にすべきでしょう。

 

堀江貴文さんの「多動力」は書籍として大ヒットしましたが、ベンチャー経営においても、ふと少し軸をずらした、やったことのないものも触ってみて、という余裕を持つべきなんじゃないかと最近は考えます。

「シリコンバレー式 最高のイノベーション」という書籍の著書、シリコンバレーのアクセラレータを運営するスティーブン・S・ホフマンさんは、1日10数時間も休まずに仕事しかしない起業家に対して批判的な態度を示していらっしゃいました。

上記の「切り取る」という視点で言えば、まだ人が見ていない重要な真実を、切り取って世界に提示していくうえで、豊かな視野や含蓄が得られない時間の使い方をしていていいのか、という話なのでしょうね。

 

私は前職はHR事業者にて、年収が1.000万円オーバーの方の転職をご支援することをメインに行ってきたのですが、年収が高騰している方であるほど、職能もそうですし、人生という点でも、幅を広げて成長していくことに貪欲だった印象があります。

視野を拡大させていく、これはマズローの欲求説によるところの、ある意味「自己実現欲求」なのでしょう。

スティーブ・ジョブズは、「点と点がやがてつながる」という講演をしましたが、何が自分を遠くに運んでくれるのか、それは現時点ではわからないものです。

ですが、今この時の生き方を信じ、外の人に批判をされたとしても、寄り道をしたとしても、自分が重要だと思うものに時間を投資していくこと。そこで培われた独自の視野から、世の中に新しい価値を提供していくこと。

それが起業家の価値であり、エコシステムの中ではそれを潰さずに大事にしていくことが求められるんだ、という話で、本記事は締めようと思います。

 

■ベンチャー企業に副業として参画したい方へ

自身の能力を活用し、ベンチャー企業を救いたい、と思う方は、モアプロジェクトに登録してみませんか?

先日は、GREEのCPO(チーフプロダクトオフィサー)でした澤さんも、協力したいとおっしゃって頂きました。

主にシリーズB~プレIPOの、成長中の魅力的な企業様のみと取引をしておりまして、そのような企業様の課題解決をお手伝い頂きたいです。ご興味がある方はご登録ください。

morepj.com

 

■ベンチャー経営をしている起業家・経営者様で、事業をドライブしたい方へ

弊社のサービスは、市場にいらっしゃる優れた人材にすばやくアクセスし、事業成長のスピードを高めることが出来るサービスです。

戦略の遂行や課題の解決にあたって、専門性の高い方と仕事をする機会は、成長のチャンスに繋がると私は思うんです。

私自身は、アドテクノロジーの新規事業開発に携わっていてのですが、その時は、YouTubeの日本市場導入に携わって、広告業界の知見が豊富な高広伯彦さんに月に何度かご来社頂いて、ディスカッションパートナーになって頂いていました。

私は、チャネル開発、価格設計、管理画面構築、運用フロー、販促資料作成、営業トークなど様々なことをストレートに相談したのですが、その回答はとても学びになり、彼のお蔭で事業売上は3倍近く伸びた成功体験がありました。

残念ながら高広さんは現在、ご参画はできない様子なのですが…その他にも、多くのプロフェッショナルの方々との接点を持てるサービスとして設計をしています。

もし、経営者様の中で、優れた人材にアクセスして、事業戦略のスピードを高めたい、という方はお問い合わせください。

business.morepj.com